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ロスに戻ってきたなと思う瞬間

と、いうのは結構たくさんあるけど、今日は特にそう感じた。

母校の大学院で、ヴィジュアルセオリーのクラスに潜入してちょっと次の長編映画用に教授に色々質問して来た。 その帰り道パトカーが高速道路を封鎖し始め、なんだなんだと先を見ると、前方の橋には男が今にも飛び降りそうな感じになっている。前に五台くらいしかいなかったから1分早かったら出くわさなかった光景だろう。後ろはすぐに5キロくらいの渋滞。

ここまでなら別にやっぱロスにいるなとは思わない。「自殺をしてやる!」みたいな感じで、世間を騒がすのは世界共通。高速道路がめっちゃ広いということを覗いては。むしろマイケルジャクソンが赤ん坊を窓から出すくらいしないと世界的になニュースにはならない。何が彼をそうさせたのは皆目見当もつかないが、『どんな理由であれ考え直して欲しいな、でも反対車線も車止めだしたし、消防車とか来たし、もう今更引っ込みにくいのかもしれないな。確実に逮捕だろうから、投獄されたら可哀想だな、でも死ぬよりはマシだからやはり考え直すべきでは?』と一分くらい傍観しながら考えていた。

すると隣りの車の運転手が助手席の人とスイッチしたと思ったらおもむろにトランクに行き、取り出したのは勿論、プロ用のビデオカメラ。肩によいしょっとのっけてここぞとばかりに撮影を始める。すると、後ろから人達もビデオカメラやら一眼レフやらを取り出して撮影するために、車を捨てて、前に行っちゃった。

これこそ、ロスに戻って来たなと思う瞬間だろう。映像関係者の比率が半端ない。カフェで隣りに座っている人の話が聞こえてくると、次のテレビドラマ企画の話、お皿を運ぶウェイトレスは勿論女優志望(ロスにいるウェイター/ウェイトレスの90%は俳優志望というのが都市伝説)、戻ってきてからこの三週間くらいで会う人会う人、彼氏が監督やら、おじいちゃんが有名プロデューサーやら、孫娘が映画学校に行ってるなど、上げだしたらきりがない。類は友を呼ぶという法則を考慮したとしても多すぎる気がする。

結局何が言いたいかと言うと、自分がiPhoneだったのが恥ずかしかった。別にこの事件を撮影したかったわけではない。隣りの人のカメラがでかくて羨ましいわけでもない。ここで間違っちゃいけないのは、今日の高速道路で撮影を始めたほとんどの人たちがプロ使用の機材をたまたま持ち合わせていたのではない。何かが起こったのを知って近くからカメラを持って駆けつけたわけでもない。彼らは常に撮影機材を持ち歩いているわけだ。

ロスの映像関係者のプロ根性、層の厚さ、そして競争率を改めて認識し、反省した一日でした。チャンスの神様は準備が出来てる人にしか興味がない、というのは有名な噂。

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